世界に例を見ない速度で進行する日本の高齢化は、医療・介護費等の社会保障支出の増大と、労働人口の減少等により、「国民生活の質の低下」を引き起こしかねない課題を浮き彫りにしました。
加えて長期に渡る経済低迷という課題も抱え、我国の財政が今後、危機的状況を迎える事は明らかであり、国家財政の健全化のための効果的な打開策が検討されてまいりました。
超高齢社会を迎えた日本の持続可能な国家運営に向け求められるのは、国民生活の質を落とさずに、社会保障関連支出を制御する手法と、新たな成長産業の創出です。
・国民生活の質を落とさず社会保障支出を抑制する取り組み
(健康長寿社会の基盤整備)
・持続可能な国家運営を支える新たな成長産業の創出
(新外貨獲得産業創出・外需及び内需の拡大)
*総務省発表の2013年5月1日現在の推計人口によると、65歳以上の人口は前年より107万人多い3097万人となり、総人口に占める割合は24.7%と過去最高を更新
我が国における高齢化社会は、一般的には、高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)によって以下のように分類される。
我が国は、国勢調査の結果では1970年(昭和35年)調査(7.1%)で高齢化社会、1995年(平成7年)調査(14.5%)で高齢社会になった。また、人口推計の結果では、2007年(平成19年)(21.5%)に超高齢社会となった。 総務省が発表した2010年9月15日現在の推計人口によると、65歳以上の人口は前年より46万人多い2944万人となり、総人口に占める割合は23.1%と過去最高を更新した。1935年(昭和10年)の高齢化率が4.7%と最低であった。1950年- 1975年は出生率低下によって、それ以降は、死亡率の改善により高齢化率が上昇した。先進諸国の高齢化率を比較してみると、日本は1980年代までは下位、1990年代にはほぼ中位であったが、2010年(平成22年)には23.1%となり、世界に類を見ない水準に到達している。
また、高齢化の速度について、高齢化率が7%を超えてからその倍の14%に達するまでの所要年数(倍化年数)によって比較すると、フランスが115年、スウェーデンが85年、比較的短いドイツが40年、イギリスが47年であるのに対し、日本は、1970年(昭和45年)に7%を超えると、その24年後の1994年(平成6年)には14%に達している。さらに総務省は2007年(平成19年)11月1日の推計人口において、75歳以上の総人口に占める割合が10%を超えたことを発表した。 このように、日本の高齢化は、世界に例をみない速度で進行している。